UTTACセミナー 2018年1月15日(月)

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応用加速器部門ユーザー各位

以下の日程で、修士論文発表のためのUTTACセミナーを開催致します。

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日時:2018年1月15日(月)14:00~17:00
場所:共同研究棟C 三階305室
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発表は5件になります。
以下は、各講演の概要になります。
皆様、どうぞ、お集まり下さい。

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講演者:佐藤 一輝
題目:RHIC-PHENIX実験における√sNN = 200, 62.4, 39, 19.6GeV 重陽子・金衝突の前方、後方における楕円的集団運動の測定
<概要>
Quark Gluon Plasma(QGP)とは、超高温・高密度下でハドロンが相転移してできる、クォークとグルーオンが広範囲わたって強く相互作用する物質である。
高エネルギー原子核衝突実験では、原子核を衝突させることによって人工的に高温・高密度状態を作り出し、その物性を探る研究が行われている。
これまでの多角的な研究の結果、原子核衝突によるQGPの生成はほぼ確実なものとされるようになっている。
一方で近年ではQGPへの相転移が起こる温度や密度の条件が注目されている。
2016年、米国RHIC加速器では、重陽子と金原子核の核子対あたりのエネルギーを4段階に変化させ、衝突部の温度と密度条件を変える実験が行われた。
本セミナーでは、RHIC-PHENIX実験で測定されたデータを用い、QGP生成の信号の一つとされる生成粒子の集団膨張強度について、先行研究との比較によって高エネルギーでのQGP生成を確認する。その後、新たなエネルギーの結果から、QGP生成条件について議論する。

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講演者:レバザ 義美
題目:ALICE実験√sNN = 2.76TeV Pb-Pb衝突におけるジェットと反応平面を用いたソフト・ハード相関の研究
<概要>
LHC-ALICE実験において核子対あたり2.76TeVの鉛・鉛衝突を行い、宇宙初期の高温・高密度物質Quark Gluon Plasma(QGP)の性質を調べるために、生成されるハドロン間の2粒子相関解析を行った。
低い運動量領域では2粒子の長距離相関を用いることにより、楕円型方位角異方性等を測定しQGPのソフトな集団運動を調べることができ、一方で高い運動領域では初期のハードな散乱によるジェット生成やパートンのQGP中でのエネルギー損失に関する情報を得ることができる。
本研究では、2粒子のうち片方を基準となるトリガー粒子とし、2次及び3次の反応平面に対するトリガー粒子の生成角度に条件をつけた2粒子相関を測定し、ジェット相関のQGP中での変貌と、QGPのジェットに対する応答を調べた。

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講演者:天野 将道
題目:固体水素標的を用いた陽子ドリップライン核17Neの反応断面積測定
<概要>
安定核にはない不安定核特有の性質の1つとしてスキン構造が挙げられる。
スキン構造とは不安定核の表面に現れる過剰の陽子又は中性子の層である。
これまで、実験的にスキン厚を求める方法は技術的制約により一部の不安定核に限られていた。
したがって、スキン構造の実験的研究をより深めるために、より多くの不安定核において適応可能な方法が望まれる。
そこで我々は、固体水素標的を用いた反応断面積測定によって、スキン厚を実験的に決定する手法を開発中である。
中性子ドリップライン核を対象とした先行研究では、本手法の妥当性が報告されている。
本研究では先行研究を発展させ、陽子過剰核への適応の妥当性を確認すべく、固体水素標的を用いた陽子ドリップライン核17Neの反応断面積測定を行った。
実験は放射線医学総合研究所HIMACで行った。
本セミナーでは、実験概要や解析手法などに関して報告する。

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講演者:細谷 青児
題目:6 MVタンデム加速器を用いた難測定核種における加速器質量分析法の開発
<概要>
加速器質量分析法(AMS)は同位体比を10^-15まで測定可能な超高感度な分析手法である.
筑波大学AMSグループでは2016年3月から稼働を開始した6 MVタンデム加速器を用いて多核種AMSの開発を行ってきた.
本研究では,国内では初となるCa-41 (半減期 :1.02 × 10^5年),Sr-90 (半減期: 28.79年)の検出手法の開発を行った.
AMSによるこれら2核種の測定方法を開発することによって,迅速かつ高感度な測定が期待される.
結果として,Ca-41, Sr-90両核種ともにAMSによる検出に成功しした.
また,その検出限界もCa-41/Ca ~ 3.0×10^-15, Sr-90/Sr ~ 5.5×10^-13を得ることができ,世界最高レベルの検出限界を達成した.
6 MVタンデム加速器という比較的小型な加速器でこれらの核種の検出に成功したことにより,世界に多数ある小型加速器を用いて,広くSr-90の測定が期待される.
そして,その応用研究も活発になることによって物理学のみならず幅広い研究分野の発展が見込まれる.

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講演者:黒尾 奈未
題目:大交差角ビームビーム衝突によって生じるWake Field および Head-Tail 不安定性
<概要>
近年の衝突型加速器では、大交差角を用いた衝突形式を採用してルミノシティ向上を目指している。
しかし大交差角Strong-strong シミュレーションでコヒーレントHead-Tail不安定性が見られた。
我々はこの不安定性に対する理論構築を行い、ビーム不安定性の理解を深めて将来の加速器設計の指針としようとしている。
本論文では、ビームビーム相互作用をWake Fieldで記述したCross wakeを用いて自らプログラムを開発した粒子トラッキングと固有値解析の結果について報告する。
粒子トラッキングでは、Cross wakeの影響による電流値の閾値が調べられ、CERNの将来加速器FCC(100km)でデザイン値の0.12倍という結果を得た。
一方、Strong-strongシミュレーションでの閾値は0.16倍であり、よく一致する。
粒子トラッキングで得た結果をもとに、固有値解析を使った新たな不安定性理論を確立させた。
新たな点は、2つのビームの相関を表すCross wake を使うこと、そのCross wake が衝突点に局所的であるということである。
そこで、Cross wakeの固有値解析方法のプログラムを数通り開発した。
これらの解析方法では不安定性が確認され、粒子トラッキングで得た閾値や不安定になるモードがよく一致しているという結果を得た。

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